【カード紹介】《The Abyss》
2011年8月1日 カード紹介 コメント (4)目次:http://himajin.diarynote.jp/201103131200449531/
カード紹介一覧:http://himajin.diarynote.jp/201108012306394608/
デッキ一覧:http://himajin.diarynote.jp/201102172159081800/
私の好きなカード、もといあまり注目されていないカードや多くの人が注目しているけど未だ大きな結果は残していないカード、昔は使われていたのに今はメタ的に奮わないカード、それを活かせるデッキさえ登場すれば活躍しそうなカードなど、いわゆるワンチャンカードを主にレガシー目線で紹介していきます。
【特徴】
(印刷時のテキストは古い表記なので気をつけてください)
《Nether Void》と並ぶワールドエンチャント。最近じわじわ注目が集まってきてるようで、同じワールドでも《In the Eye of Chaos》や《調和の中心/Concordant Crossroads》などと比べたら目にする機会はだいぶ多いでしょう。パッと見の機能としては《墓への呼び声/Call to the Grave》を軽くして伝説にしただけな感じですが、微妙にそうではないというところがこのカードのポイントです。
【メリット】
・非アーティファクト限定
《墓への呼び声/Call to the Grave》と違ってアーティファクトクリーチャーには効きません。従ってこちらがMUD/MUDや5/3/5/3に採用されているクリーチャー群や他に《エーテル宣誓会の法学者/Ethersworn Canonist》や《呪文滑り/Spellskite》などしかクリーチャーを使っていない場合は自分に何らデメリットはありません。相手だけクリーチャーをロックし、こちらは自由に殴るという構図も実現可能です。
・対象を取る
《墓への呼び声/Call to the Grave》と違って「選ぶ」という言葉が使われているので若干分かりにくいですが、この誘発型能力は対象を取っています。従って、チャンプに弱い《敏捷なマングース/Nimble Mongoose》や《ブラストダーム/Blastoderm》に《ガイアの復讐者/Gaea’s Revenge》や《カロニアのビヒモス/Kalonian Behemoth》、クリーチャー戦に弱い《鎌虎/Scythe Tiger》や《千足虫/Gigapede》などといった被覆持ちと併用でき、しかもブロッカー排除に貢献します。また黒いエンチャントによる誘発型能力なため、《大祖始/Progenitus》や《ミラディンの十字軍/Mirran Crusader》といったプロテクション黒を持つクリーチャーとも併用できます。
・破壊する
《墓への呼び声/Call to the Grave》と違ってコントローラーに生け贄に捧げさせるのではなく破壊するので、《ダークスティールの巨像/Darksteel Colossus》や《無限に廻るもの、ウラモグ/Ulamog, the Infinite Gyre》や《暗黒の深部/Dark Depths》の《マリット・レイジ/Marit Lage》トークンのような破壊されないファッティと併用できます。
・1ターンに1体
ある程度他のカードでクロックをさばけている状況であれば、毎ターン1体ずつクリーチャーを処理していける《The Abyss》は鉄壁になります。特に相手が石鍛冶フェアリー/Stoneforge Faeryやチームアメリカ/Team Amearicaのように少ないクロックをカウンターで守るデッキには置いて維持さえできればよく効くでしょう。
・シングルシンボル4マナ
《墓への呼び声/Call to the Grave》と同様シングルシンボルな上に4マナという軽さなので、タッチ黒程度の黒茶単や2色以上のデッキでも問題なく採用でき、特に黒茶単では《三なる宝球/Trinisphere》や《世界のるつぼ/Crucible of Worlds》や《金属細工師/Metalworker》などの無色3マナの置物を設置した次のターンに自然に唱えられます。
【デメリット】
・非アーティファクト限定
こちらがアーティファクトクリーチャーしか使わなければデメリットがないのと同時に、相手のアーティファクトクリーチャーにも触れられません。親和/AffinityやMUD/MUDや5/3/5/3の大半のクリーチャーには無力ですし、その他《絵描きの召使い/Painter’s Servant》や《ファイレクシアン・ドレッドノート/Phyrexian Dreadnought》など早いうちに除去したいアーティファクトクリーチャーにも手を出せません。
・対象を取る
対象に取るということは、呪禁と相性が最悪です。《最後のトロール、スラーン/Thrun, the Last Troll》や《ダングローブの長老/Dungrove Elder》のようなファッティのチャンプブロッカー排除には使えませんし、逆に相手に使われたら対処できません。また自分が被覆持ちやプロテクション持ちと併用できるように、相手の《大祖始/Progenitus》や《ミラディンの十字軍/Mirran Crusader》にも無力です。
・1ターンに1体
1ターンに1体しか破壊できないので、トークン生成やマナクリのチャンプキャストで本命の破壊を妨害されてしまいますし、親和エルフ/Elves!やゴブリン/Goblinのように横に並べてくるデッキにはこれ単体では除去が追いつきません。また誘発タイミングも限られており即効性がないので、例えばミシュラランドには一切干渉できず、速攻持ちや《騙し討ち/Sneak Attack》経由のファッティにも殴られてしまいますし、相手にクリーチャーの能力を起動させたり誘発させたりするタイミングを与えてしまいます。特に《核の占い師、ジン=ギタクシアス/Jin-Gitaxias, Core Augur》の誘発型能力はどちらも防げないのが痛いですね。
・重い
《墓への呼び声/Call to the Grave》よりは軽いといっても、4マナは出すのに3ターン以上かかることが多いです。レガシーの4マナ域は《自然の秩序/Natural Order》なり《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》なり《騙し討ち/Sneak Attack》なり環境随一のパワーカードであってどんなデッキ相手にも効くようなものが肩を並べるマナ域ですので、それらと比べるとシングルシンボルという点を加味してもコンボなどに全く効かず単体でゲームを決める能力もない《The Abyss》は見劣りしてしまいます。また《ガドック・ティーグ/Gaddock Teeg》にも封殺されてしまうのも難点ですね。
・置物
置物であるがために《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》対策の巻き添えを食いかねません。《精神的つまづき/Mental Misstep》ケアで《自然の要求/Nature’s Claim》よりも《クローサの掌握/Krosan Grip》を優先されると《虚空の杯/Chalice of the Void》では防げませんし、ズー/Zooやマーベリック/Maverickの《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》はメインからテンポよく《The Abyss》を割ってくるのでかなりきついでしょう。
・ワールド
《煙突/Smokestack》や《墓への呼び声/Call to the Grave》と違ってワールドであるため、重ね貼りできません。重ね貼りによる強制リセットに使えないことや、相手の計算を狂わせにくいというのは小さくないデメリットです。
【使い方】
・重さを他のカードで補う
重いカードをそのまま使うのでは悠長です。以下にあげるような方法で、他のカードにサポートさせるのが正解でしょう。
i) 軽めの除去を多めに採用する
4マナ伸ばしている間にクリーチャーが並ぶようでは困るので、軽い除去と合わせましょう。黒は除去の選択肢が多く、例えば《無垢の血/Innosent Blood》《悪魔の布告/Diabolic Edict》《チェイナーの布告/Chainer’s Edict》《マラキールの門番/Gatekeeper of Malakir》、《燻し/Smother》《喉首狙い/Go for the Throat》《破滅の刃/Doom Blade》《叫び大口/Shriekmaw》、《血の復讐/Vendetta》《四肢切断/Dismember》《殺し/Snuff Out》《無謀な悪意/Reckless Spite》《灰は灰に/Ashes to Ashes》などがあります。《The Abyss》自体の除去タイミングが限られているためなるべくインスタント除去を選択するようにし、アーティファクトクリーチャーにも触れるようにした上で、自分のデッキコンセプトとメタゲームに合わせて慎重に選びましょう。
ii) マナ加速と合わせる
軽量除去をそんなに積まないなら、2マナランドやモックス系に《厳かなモノリス/Grim Monolith》なり《暗黒の儀式/Dark Ritual》なりでなるべくは3ターン以内に唱えられる構成にしたいですね。ただしマナクリとは相性が悪いのでマナクリを使うのは極力避けましょう。
iii) 他のクリーチャー対策の置物と合わせる
これはi)ともii)とも併用できる方法です。《破滅的な行為/Pernicious Deed》や《ネビニラルの円盤/Nevinyrral’s Disk》のような全体除去、《煙突/Smokestack》や《墓への呼び声/Call to the Grave》のように重ね貼りできる追加のロック要素、《Moat》に《謙虚/Humility》に《テフェリーの濠/Teferi’s Moat》や《果たし合いの場/Dueling Grounds》といった防御呪文などなど、中心となるクリーチャー対策を他に採用することで《The Abyss》がなくてもある程度地上を抑えられる状態で1・2枚挿しの《The Abyss》でダメ押しの蓋をする構成にすれば、他との相乗効果で一際頼もしくなりそしてワールドであるデメリットも緩和されるでしょう。基本的には多色化することになるのでi)のプランに追加で置物をタッチする感じで、多色化せずにシングルシンボルの置物を多く使う場合に限りii)のプランに組み合わせるといいでしょうね。
・PWと合わせる
《The Abyss》の影響下ではPWが守りやすくなります。特にバウンス能力を持っている《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》やトークン生成能力を持っている《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》や《原初の狩人、ガラク/Garruk, Primal Hunter》、《The Abyss》で破壊されないアーティファクトクリーチャーを量産できる《ボーラスの工作員、テゼレット/Tezzeret, Agent of Bolas》の耐久力はかなりのものとなるでしょう。
・ミシュラランドと合わせる
《The Abyss》はミシュラランドには一切干渉しないので、逆にこちらからミシュラランドを使いましょう。特に《世界のるつぼ/Crucible of Worlds》+ミシュラランドの壁は複数体のクロックに弱いという欠点が、毎ターン確実にクロックを減らしてくれる《The Abyss》により解消されてかなりの強度になり、攻防ともにミシュラランドは活躍してくれるでしょう。
・pig持ちと合わせる
自分のクリーチャーを1ターン後に確実に墓地に置けるので、即効性はありませんがpig持ちと相性はそこそこです。特に《アカデミーの学長/Academy Rector》と相性がよく、《アカデミーの学長/Academy Rector》のpigで《The Abyss》が出せますし、《The Abyss》の能力で《アカデミーの学長/Academy Rector》を墓地に置け、《アカデミーの学長/Academy Rector》のpigで《再誕のパターン/Pattern of Rebirth》を付けられたクリーチャーも次のターンにはやはり《The Abyss》で墓地に置け、《再誕のパターン/Pattern of Rebirth》でもしファッティを出す構成なら《大祖始/Progenitus》でも《無限に廻るもの、ウラモグ/Ulamog, the Infinite Gyre》でも《The Abyss》に耐性がありますし、無限コンボにつなげるのなら《TheAbyss》が足を引っ張ることはありません。もちろんこの方法でのコンボギミックは非常にゆっくりな上に《剣を鍬に/Swords to Plowshares》などの除去で悠々妨害されてしまう点がつらいですが、それはあくまでサクり台本業の《ファイレクシアの塔/Phyrexian Tower》や《高級市場/High Market 》などを引けなかったときの代案ですし、それとは別にコンボパーツを引くまでの時間稼ぎとして《The Abyss》は十分働いてくれるので一考の余地はあるでしょう。
・コンボ対策をしっかりする
基本的に除去を初めとするボードに干渉するタイプのカードが大目にデッキに投入されることになるので、ボードを経由しないコンボには多くのカードが腐ります。手札破壊や打ち消しなどのコンボ対策は入念にし、特にサイド後に頑張れるようにし、できるならばサイド後にクリーチャー対策をごっそり抜けるようなサイドプランが取れるようにスロットを取りましょう。
・ほぼノンクリーチャーのボードコントロールに入れる
クリーチャーを基本的に採用せず、ミシュラランドやPWのような非クリーチャーパーマネントをフィニッシャーに添えた多色ボードコントロールデッキなら軽量除去や置物によるクリーチャー対策も可能で、コンボやクリーチャーに対する手札破壊や打ち消しを積むスロットも十分あります。そのようなデッキに《The Abyss》を少数挿しておけばなかなかの活躍を見せるでしょう。またフィニッシャーにクリーチャーを採用する場合も、《千足虫/Gigapede》や《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》のように《The Abyss》で対象に取られないものや、《蟲の収穫/Worm Harvest》や《墓所のタイタン/Grave Titan》、《大霊堂の王、ゲス/Geth, Lord of the Vault》に《妖精の女王、ウーナ/Oona, Queen of the Fae》や《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》のように複数体のトークンなどを生成できるものなら問題なく《The Abyss》と共存できます。
・茶系の低速ビートに入れる
シングルシンボルなのでMUD/MUDや5/3/5/3に黒をタッチすればすんなり採用できます。茶単系のデッキなら問題なく2マナランドやモックス系を採用できますし、《虚空の杯/Chalice of the Void》や《三なる宝球/Trinisphere》がメインに自然に入るのでコンボ対策もそれなりにはしやすく、スロット不足を解消できるでしょう。ただし《金属細工師/Metalworker》を使うときはメインデッキのアーティファクト数に気を付けるだけでなく、サイド後のアーティファクト数にも注意を払いましょう。
・サイドに入れる
クリーチャー主体のデッキにしか効きませんが、それでも《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》や《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》のような厄介なクリーチャーに刺さることも確かですので1つのサイドカードとしての採用も十分にアリですね。ただし《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》対策としても《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》と《ガドック・ティーグ/Gaddock Teeg》有するマーベリック/Maverickのようなデッキには使いにくいですし、《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》にも《実物提示教育/Show and Tell》経由ならいいですが《騙し討ち/Sneak Attack》経由だとどうしようもないので他に対策をしなければならず、必ずしも汎用的とは言い難いスロットではあります。
・黒緑の被覆ビートに入れる(カジュアル向け)
被覆クリーチャーで殴りつつ相手のクロックやブロッカーを《The Abyss》で排除していく簡単な構築です。その場合被覆クリーチャーはクリーチャー戦に弱いので《The Abyss》が引けなかった時のために除去にそれなりのスロットを割かなくてはならなくなることに注意しましょう。ただしクリーチャー対策に多くのスロットを割くということはコンボなど相手に腐るカードが多く、しかも被覆クリーチャーはコンボ相手に対して強くないのでコンボとのマッチアップは最悪です。メインやサイドに手札破壊のようなコンボ対策を多めに積むか、またはコンボの目立つ環境では基本的に使えないデッキとして割り切りましょう。
・《恐血鬼/Bloodghast》系ビートに入れる(カジュアル向け)
《恐血鬼/Bloodghast》《冥界の裏切り者/Nether Traitor》《冥界のスピリット/Nether Spirit》《苦花/Bitterblossom》《ゾンビの横行/Zombie Infestation》(+戦場や手札に戻るクリーチャーカード)などのようなカードリソースを消費せずに戦場にクロックを維持できるカードと併用すれば、除去連打したりチャンプブロックなどしながら《The Abyss》でゆっくり相手のクロックがすっきりするまで待って、それからちまちま殴っていくビートコントロールデッキとして構築できます。採用カードの相性上《汚染/Contamination》も仕込むといいかもしれませんね。ただし《汚染/Contamination》だけではコンボ対策として薄いので、やはりサイドにでも多めに手札破壊などが必要になります。
【採用デッキの例】
多色コントロールでコンボ対策に打ち消しも積めるディードスティル/Deed Stillやタッチ黒のランドスティル/Land Stillにはシンボルの軽い追加のクリーチャー対策として採用しやすいですね。また打ち消しがなくても手札破壊を濃くすることでコンボ耐性を付けたみのむしぶらりんしゃん/Mono Removal、トレインレック/Train Wreck、黒コン/Mono Black Control、その他《三なる宝球/Trinisphere》を採用できる黒スタックス/Black Staxや青黒スタックス/Blue-Black Staxや白黒スタックス/White-Black Staxなどに入れても鉄壁のボードコントロール力を見せてくれるでしょう。非コントロールデッキに入れるとしたらその筆頭はやはりタッチ黒版のMUD/MUDや5/3/5/3で、装備品や《鋼のヘルカイト/Steel Hellkite》や《解放された者、カーン/Karn Liberated》以外にクリーチャーに触る手段が乏しかった純正と比べてタッチ黒により自然に除去が積めるようになるので一風変わったデッキになります。もちろんアーティファクトカードが減りますし黒マナを用意しなければいけなくなるので純正より爆発力はなくなるというデメリットがありますが、クリーチャーに触れるというのは少なくないメリットでしょう。それ以外のビートやビートコントロールに入れるのはわりと難しそうですが、それでも組みたいなら上にあげましたように黒緑の被覆ビートか黒中心で《恐血鬼/Bloodghast》や《苦花/Bitterblossom》などを用いたビートあたりに落ち着くでしょうね。またコンボデッキに使いたいのならレクターグール/Rector GhoulやNOツールボックス/NO Toolboxなどでサクり台兼防御呪文として働きます。
黒茶単マスティコアhttp://himajin.diarynote.jp/201208062108371721/
黒単アビスストンピィhttp://himajin.diarynote.jp/201102171500418849/
黒緑アビススタックスhttp://himajin.diarynote.jp/201104011447365804/
黒緑土地単スタックスhttp://himajin.diarynote.jp/201102171614242752/
カード紹介一覧:http://himajin.diarynote.jp/201108012306394608/
デッキ一覧:http://himajin.diarynote.jp/201102172159081800/
私の好きなカード、もといあまり注目されていないカードや多くの人が注目しているけど未だ大きな結果は残していないカード、昔は使われていたのに今はメタ的に奮わないカード、それを活かせるデッキさえ登場すれば活躍しそうなカードなど、いわゆるワンチャンカードを主にレガシー目線で紹介していきます。
《The Abyss》 (3)(黒)
ワールド・エンチャント
各プレイヤーのアップキープの開始時に、そのプレイヤーが選んだ自分がコントロールするアーティファクトでないクリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。それは再生できない。
At the beginning of each player’s upkeep, destroy target nonartifact creature that player controls of his or her choice. It can’t be regenerated.
【特徴】
(印刷時のテキストは古い表記なので気をつけてください)
《Nether Void》と並ぶワールドエンチャント。最近じわじわ注目が集まってきてるようで、同じワールドでも《In the Eye of Chaos》や《調和の中心/Concordant Crossroads》などと比べたら目にする機会はだいぶ多いでしょう。パッと見の機能としては《墓への呼び声/Call to the Grave》を軽くして伝説にしただけな感じですが、微妙にそうではないというところがこのカードのポイントです。
【メリット】
・非アーティファクト限定
《墓への呼び声/Call to the Grave》と違ってアーティファクトクリーチャーには効きません。従ってこちらがMUD/MUDや5/3/5/3に採用されているクリーチャー群や他に《エーテル宣誓会の法学者/Ethersworn Canonist》や《呪文滑り/Spellskite》などしかクリーチャーを使っていない場合は自分に何らデメリットはありません。相手だけクリーチャーをロックし、こちらは自由に殴るという構図も実現可能です。
・対象を取る
《墓への呼び声/Call to the Grave》と違って「選ぶ」という言葉が使われているので若干分かりにくいですが、この誘発型能力は対象を取っています。従って、チャンプに弱い《敏捷なマングース/Nimble Mongoose》や《ブラストダーム/Blastoderm》に《ガイアの復讐者/Gaea’s Revenge》や《カロニアのビヒモス/Kalonian Behemoth》、クリーチャー戦に弱い《鎌虎/Scythe Tiger》や《千足虫/Gigapede》などといった被覆持ちと併用でき、しかもブロッカー排除に貢献します。また黒いエンチャントによる誘発型能力なため、《大祖始/Progenitus》や《ミラディンの十字軍/Mirran Crusader》といったプロテクション黒を持つクリーチャーとも併用できます。
・破壊する
《墓への呼び声/Call to the Grave》と違ってコントローラーに生け贄に捧げさせるのではなく破壊するので、《ダークスティールの巨像/Darksteel Colossus》や《無限に廻るもの、ウラモグ/Ulamog, the Infinite Gyre》や《暗黒の深部/Dark Depths》の《マリット・レイジ/Marit Lage》トークンのような破壊されないファッティと併用できます。
・1ターンに1体
ある程度他のカードでクロックをさばけている状況であれば、毎ターン1体ずつクリーチャーを処理していける《The Abyss》は鉄壁になります。特に相手が石鍛冶フェアリー/Stoneforge Faeryやチームアメリカ/Team Amearicaのように少ないクロックをカウンターで守るデッキには置いて維持さえできればよく効くでしょう。
・シングルシンボル4マナ
《墓への呼び声/Call to the Grave》と同様シングルシンボルな上に4マナという軽さなので、タッチ黒程度の黒茶単や2色以上のデッキでも問題なく採用でき、特に黒茶単では《三なる宝球/Trinisphere》や《世界のるつぼ/Crucible of Worlds》や《金属細工師/Metalworker》などの無色3マナの置物を設置した次のターンに自然に唱えられます。
【デメリット】
・非アーティファクト限定
こちらがアーティファクトクリーチャーしか使わなければデメリットがないのと同時に、相手のアーティファクトクリーチャーにも触れられません。親和/AffinityやMUD/MUDや5/3/5/3の大半のクリーチャーには無力ですし、その他《絵描きの召使い/Painter’s Servant》や《ファイレクシアン・ドレッドノート/Phyrexian Dreadnought》など早いうちに除去したいアーティファクトクリーチャーにも手を出せません。
・対象を取る
対象に取るということは、呪禁と相性が最悪です。《最後のトロール、スラーン/Thrun, the Last Troll》や《ダングローブの長老/Dungrove Elder》のようなファッティのチャンプブロッカー排除には使えませんし、逆に相手に使われたら対処できません。また自分が被覆持ちやプロテクション持ちと併用できるように、相手の《大祖始/Progenitus》や《ミラディンの十字軍/Mirran Crusader》にも無力です。
・1ターンに1体
1ターンに1体しか破壊できないので、トークン生成やマナクリのチャンプキャストで本命の破壊を妨害されてしまいますし、親和エルフ/Elves!やゴブリン/Goblinのように横に並べてくるデッキにはこれ単体では除去が追いつきません。また誘発タイミングも限られており即効性がないので、例えばミシュラランドには一切干渉できず、速攻持ちや《騙し討ち/Sneak Attack》経由のファッティにも殴られてしまいますし、相手にクリーチャーの能力を起動させたり誘発させたりするタイミングを与えてしまいます。特に《核の占い師、ジン=ギタクシアス/Jin-Gitaxias, Core Augur》の誘発型能力はどちらも防げないのが痛いですね。
・重い
《墓への呼び声/Call to the Grave》よりは軽いといっても、4マナは出すのに3ターン以上かかることが多いです。レガシーの4マナ域は《自然の秩序/Natural Order》なり《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》なり《騙し討ち/Sneak Attack》なり環境随一のパワーカードであってどんなデッキ相手にも効くようなものが肩を並べるマナ域ですので、それらと比べるとシングルシンボルという点を加味してもコンボなどに全く効かず単体でゲームを決める能力もない《The Abyss》は見劣りしてしまいます。また《ガドック・ティーグ/Gaddock Teeg》にも封殺されてしまうのも難点ですね。
・置物
置物であるがために《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》対策の巻き添えを食いかねません。《精神的つまづき/Mental Misstep》ケアで《自然の要求/Nature’s Claim》よりも《クローサの掌握/Krosan Grip》を優先されると《虚空の杯/Chalice of the Void》では防げませんし、ズー/Zooやマーベリック/Maverickの《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》はメインからテンポよく《The Abyss》を割ってくるのでかなりきついでしょう。
・ワールド
《煙突/Smokestack》や《墓への呼び声/Call to the Grave》と違ってワールドであるため、重ね貼りできません。重ね貼りによる強制リセットに使えないことや、相手の計算を狂わせにくいというのは小さくないデメリットです。
【使い方】
・重さを他のカードで補う
重いカードをそのまま使うのでは悠長です。以下にあげるような方法で、他のカードにサポートさせるのが正解でしょう。
i) 軽めの除去を多めに採用する
4マナ伸ばしている間にクリーチャーが並ぶようでは困るので、軽い除去と合わせましょう。黒は除去の選択肢が多く、例えば《無垢の血/Innosent Blood》《悪魔の布告/Diabolic Edict》《チェイナーの布告/Chainer’s Edict》《マラキールの門番/Gatekeeper of Malakir》、《燻し/Smother》《喉首狙い/Go for the Throat》《破滅の刃/Doom Blade》《叫び大口/Shriekmaw》、《血の復讐/Vendetta》《四肢切断/Dismember》《殺し/Snuff Out》《無謀な悪意/Reckless Spite》《灰は灰に/Ashes to Ashes》などがあります。《The Abyss》自体の除去タイミングが限られているためなるべくインスタント除去を選択するようにし、アーティファクトクリーチャーにも触れるようにした上で、自分のデッキコンセプトとメタゲームに合わせて慎重に選びましょう。
ii) マナ加速と合わせる
軽量除去をそんなに積まないなら、2マナランドやモックス系に《厳かなモノリス/Grim Monolith》なり《暗黒の儀式/Dark Ritual》なりでなるべくは3ターン以内に唱えられる構成にしたいですね。ただしマナクリとは相性が悪いのでマナクリを使うのは極力避けましょう。
iii) 他のクリーチャー対策の置物と合わせる
これはi)ともii)とも併用できる方法です。《破滅的な行為/Pernicious Deed》や《ネビニラルの円盤/Nevinyrral’s Disk》のような全体除去、《煙突/Smokestack》や《墓への呼び声/Call to the Grave》のように重ね貼りできる追加のロック要素、《Moat》に《謙虚/Humility》に《テフェリーの濠/Teferi’s Moat》や《果たし合いの場/Dueling Grounds》といった防御呪文などなど、中心となるクリーチャー対策を他に採用することで《The Abyss》がなくてもある程度地上を抑えられる状態で1・2枚挿しの《The Abyss》でダメ押しの蓋をする構成にすれば、他との相乗効果で一際頼もしくなりそしてワールドであるデメリットも緩和されるでしょう。基本的には多色化することになるのでi)のプランに追加で置物をタッチする感じで、多色化せずにシングルシンボルの置物を多く使う場合に限りii)のプランに組み合わせるといいでしょうね。
・PWと合わせる
《The Abyss》の影響下ではPWが守りやすくなります。特にバウンス能力を持っている《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》やトークン生成能力を持っている《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》や《原初の狩人、ガラク/Garruk, Primal Hunter》、《The Abyss》で破壊されないアーティファクトクリーチャーを量産できる《ボーラスの工作員、テゼレット/Tezzeret, Agent of Bolas》の耐久力はかなりのものとなるでしょう。
・ミシュラランドと合わせる
《The Abyss》はミシュラランドには一切干渉しないので、逆にこちらからミシュラランドを使いましょう。特に《世界のるつぼ/Crucible of Worlds》+ミシュラランドの壁は複数体のクロックに弱いという欠点が、毎ターン確実にクロックを減らしてくれる《The Abyss》により解消されてかなりの強度になり、攻防ともにミシュラランドは活躍してくれるでしょう。
・pig持ちと合わせる
自分のクリーチャーを1ターン後に確実に墓地に置けるので、即効性はありませんがpig持ちと相性はそこそこです。特に《アカデミーの学長/Academy Rector》と相性がよく、《アカデミーの学長/Academy Rector》のpigで《The Abyss》が出せますし、《The Abyss》の能力で《アカデミーの学長/Academy Rector》を墓地に置け、《アカデミーの学長/Academy Rector》のpigで《再誕のパターン/Pattern of Rebirth》を付けられたクリーチャーも次のターンにはやはり《The Abyss》で墓地に置け、《再誕のパターン/Pattern of Rebirth》でもしファッティを出す構成なら《大祖始/Progenitus》でも《無限に廻るもの、ウラモグ/Ulamog, the Infinite Gyre》でも《The Abyss》に耐性がありますし、無限コンボにつなげるのなら《TheAbyss》が足を引っ張ることはありません。もちろんこの方法でのコンボギミックは非常にゆっくりな上に《剣を鍬に/Swords to Plowshares》などの除去で悠々妨害されてしまう点がつらいですが、それはあくまでサクり台本業の《ファイレクシアの塔/Phyrexian Tower》や《高級市場/High Market 》などを引けなかったときの代案ですし、それとは別にコンボパーツを引くまでの時間稼ぎとして《The Abyss》は十分働いてくれるので一考の余地はあるでしょう。
・コンボ対策をしっかりする
基本的に除去を初めとするボードに干渉するタイプのカードが大目にデッキに投入されることになるので、ボードを経由しないコンボには多くのカードが腐ります。手札破壊や打ち消しなどのコンボ対策は入念にし、特にサイド後に頑張れるようにし、できるならばサイド後にクリーチャー対策をごっそり抜けるようなサイドプランが取れるようにスロットを取りましょう。
・ほぼノンクリーチャーのボードコントロールに入れる
クリーチャーを基本的に採用せず、ミシュラランドやPWのような非クリーチャーパーマネントをフィニッシャーに添えた多色ボードコントロールデッキなら軽量除去や置物によるクリーチャー対策も可能で、コンボやクリーチャーに対する手札破壊や打ち消しを積むスロットも十分あります。そのようなデッキに《The Abyss》を少数挿しておけばなかなかの活躍を見せるでしょう。またフィニッシャーにクリーチャーを採用する場合も、《千足虫/Gigapede》や《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》のように《The Abyss》で対象に取られないものや、《蟲の収穫/Worm Harvest》や《墓所のタイタン/Grave Titan》、《大霊堂の王、ゲス/Geth, Lord of the Vault》に《妖精の女王、ウーナ/Oona, Queen of the Fae》や《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》のように複数体のトークンなどを生成できるものなら問題なく《The Abyss》と共存できます。
・茶系の低速ビートに入れる
シングルシンボルなのでMUD/MUDや5/3/5/3に黒をタッチすればすんなり採用できます。茶単系のデッキなら問題なく2マナランドやモックス系を採用できますし、《虚空の杯/Chalice of the Void》や《三なる宝球/Trinisphere》がメインに自然に入るのでコンボ対策もそれなりにはしやすく、スロット不足を解消できるでしょう。ただし《金属細工師/Metalworker》を使うときはメインデッキのアーティファクト数に気を付けるだけでなく、サイド後のアーティファクト数にも注意を払いましょう。
・サイドに入れる
クリーチャー主体のデッキにしか効きませんが、それでも《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》や《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》のような厄介なクリーチャーに刺さることも確かですので1つのサイドカードとしての採用も十分にアリですね。ただし《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》対策としても《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》と《ガドック・ティーグ/Gaddock Teeg》有するマーベリック/Maverickのようなデッキには使いにくいですし、《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》にも《実物提示教育/Show and Tell》経由ならいいですが《騙し討ち/Sneak Attack》経由だとどうしようもないので他に対策をしなければならず、必ずしも汎用的とは言い難いスロットではあります。
・黒緑の被覆ビートに入れる(カジュアル向け)
被覆クリーチャーで殴りつつ相手のクロックやブロッカーを《The Abyss》で排除していく簡単な構築です。その場合被覆クリーチャーはクリーチャー戦に弱いので《The Abyss》が引けなかった時のために除去にそれなりのスロットを割かなくてはならなくなることに注意しましょう。ただしクリーチャー対策に多くのスロットを割くということはコンボなど相手に腐るカードが多く、しかも被覆クリーチャーはコンボ相手に対して強くないのでコンボとのマッチアップは最悪です。メインやサイドに手札破壊のようなコンボ対策を多めに積むか、またはコンボの目立つ環境では基本的に使えないデッキとして割り切りましょう。
・《恐血鬼/Bloodghast》系ビートに入れる(カジュアル向け)
《恐血鬼/Bloodghast》《冥界の裏切り者/Nether Traitor》《冥界のスピリット/Nether Spirit》《苦花/Bitterblossom》《ゾンビの横行/Zombie Infestation》(+戦場や手札に戻るクリーチャーカード)などのようなカードリソースを消費せずに戦場にクロックを維持できるカードと併用すれば、除去連打したりチャンプブロックなどしながら《The Abyss》でゆっくり相手のクロックがすっきりするまで待って、それからちまちま殴っていくビートコントロールデッキとして構築できます。採用カードの相性上《汚染/Contamination》も仕込むといいかもしれませんね。ただし《汚染/Contamination》だけではコンボ対策として薄いので、やはりサイドにでも多めに手札破壊などが必要になります。
【採用デッキの例】
多色コントロールでコンボ対策に打ち消しも積めるディードスティル/Deed Stillやタッチ黒のランドスティル/Land Stillにはシンボルの軽い追加のクリーチャー対策として採用しやすいですね。また打ち消しがなくても手札破壊を濃くすることでコンボ耐性を付けたみのむしぶらりんしゃん/Mono Removal、トレインレック/Train Wreck、黒コン/Mono Black Control、その他《三なる宝球/Trinisphere》を採用できる黒スタックス/Black Staxや青黒スタックス/Blue-Black Staxや白黒スタックス/White-Black Staxなどに入れても鉄壁のボードコントロール力を見せてくれるでしょう。非コントロールデッキに入れるとしたらその筆頭はやはりタッチ黒版のMUD/MUDや5/3/5/3で、装備品や《鋼のヘルカイト/Steel Hellkite》や《解放された者、カーン/Karn Liberated》以外にクリーチャーに触る手段が乏しかった純正と比べてタッチ黒により自然に除去が積めるようになるので一風変わったデッキになります。もちろんアーティファクトカードが減りますし黒マナを用意しなければいけなくなるので純正より爆発力はなくなるというデメリットがありますが、クリーチャーに触れるというのは少なくないメリットでしょう。それ以外のビートやビートコントロールに入れるのはわりと難しそうですが、それでも組みたいなら上にあげましたように黒緑の被覆ビートか黒中心で《恐血鬼/Bloodghast》や《苦花/Bitterblossom》などを用いたビートあたりに落ち着くでしょうね。またコンボデッキに使いたいのならレクターグール/Rector GhoulやNOツールボックス/NO Toolboxなどでサクり台兼防御呪文として働きます。
黒茶単マスティコアhttp://himajin.diarynote.jp/201208062108371721/
黒単アビスストンピィhttp://himajin.diarynote.jp/201102171500418849/
黒緑アビススタックスhttp://himajin.diarynote.jp/201104011447365804/
黒緑土地単スタックスhttp://himajin.diarynote.jp/201102171614242752/
コメント
分かりますその気持ちww
僕もStaxで使ってますが、やっぱりビート(特にクロックパーミ系)を相手に出せると、相当強烈ですね。
まぁでも使ってて一番いいのは、相手に「え?それどういう効果でしたっけ?」って聞かれたときなんですけどw
まあだいたいメインの目的は相手にそれを言わせて精神的にアドバンテージを得ることですかね(´▽` )
英語しかない古いカード全般のメリットですね。
今の石鍛冶蔓延環境なら間違いなく強いと思うのですが。
古くて再録の余地のないカードで少しでもエターナルに居場所のあるカードとなると、持っている人も手放しにくいですしネット見ても全然入手できなさそうですね。
このくらいの高さになると、タルモやフェッチランドのようにある程度いろんなデッキに入れられて使いまわせるくらいじゃないと手が出ませんよね。。