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毎シーズン恒例の、スポイラーのカードのルーリングをチェックする記事です。ルーリングは勉強中の身ですしスポイラーのカードテキストは必ずしも正式なオラクルを反映している保証はないのでこの記事は過信しないで下さい。ルール文章やカード名の日本語訳はあんまりちゃんと確認してないので適当です。またMTGは定期的にルーリングが更新されるゲームですので、検索などでいらした方々は記事が書かれた日時にお気を付けください。

基本セットで余り書くことはないと思いましたが、[M14]はルール改訂の境目な上に面白そうなカードが出てますし今回もちょっと見てみましょう。

《ストリオン共鳴体/Strionic Resonator》 (2)
アーティファクト-Artifact
(2), {T}: あなたがコントロールする誘発型能力1つを対象とし、それをコピーする。あなたはそのコピーの新たな対象を選んでよい。(誘発型能力には「~とき」、「~たび」、「~時」と書かれている。)
(2), {T}: Copy target triggered ability you control. You may choose new targets for the copy. (A triggered ability uses the words "when", "whenever" or "at".)

概要
誘発型能力を起動型能力でコピーするアーティファクトです。ちょうど起動型能力を誘発型能力でコピーするアーティファクトの《ブライトハースの指輪/Rings of Brighthearth》の対になりますね。起動型能力と違って誘発型能力の多くはマナの支払いを求めないため、《ブライトハースの指輪/Rings of Brighthearth》より幾分かコピーを作りやすいかもしれませんね。

呪文と能力の違い
誘発型能力は能力であって呪文ではありません。従って呪文を打ち消すことのできる《巻き直し/Rewind》などで能力を打ち消すことはできませんし、そもそも呪文しか対象に取れない呪文で能力を対象にとって唱えること自体できません。逆に起動型能力や誘発型能力を打ち消せる《もみ消し/Stifle》は呪文を対象にとったりできません。

誘発型能力かどうか
能力には大きく分けて起動型能力、誘発型能力、常在型能力、呪文能力の4種類があり、キーワード能力もそれらの組み合わせとして定義されています。例えば暗号は呪文能力と常在型能力、解鎖は2つの常在型能力、奇跡は常在型能力と誘発型能力です。そのうち《ストリオン共鳴体/Strionic Resonator》でコピーできる誘発型能力というのは、注釈文にあるように能力の1文の中に「~とき/when」、「~たび/whenever」、「~(開始・終了)時/at」という語句が含まれているもののことです。似ているようで、「~際/as」、「(~ときなら)~いつでも/any time」、「~場合/if」はそれ単体では必ずしも誘発型能力を表しません。特に「~ときなら」は「~とき」を含みますがそれは誘発型能力を表さない例外です。
例1《スラーグ牙/Thragtusk》の2つの能力は誘発型能力です。
例2《クローン/Clone》の能力は戦場に出ることを置換する常在型能力であって誘発型能力ではありません。
例3瞬速は「あなたはこのカードを、あなたがインスタントを唱えられるときならいつでもプレイしてよい。」という能力ですがこれは常在型能力です。コピーして2倍速の超瞬速にはできません。

正確な挙動
誘発型能力が誘発してから《ストリオン共鳴体/Strionic Resonator》を起動する場合のルール上適切な挙動は、
1.あるプレイヤーのコントロール下で誘発型能力が誘発します。(まだこの段階では誘発型能力はスタックには乗りません。)
2.次にいずれかのプレイヤーが優先権を得る直前に、状況起因処理をチェックします。
3.状況起因処理が全てチェックされた後にこの時点で既に誘発していてかつまだスタックに乗っていない誘発型能力がスタックに乗ります。
4.既に誘発している誘発型能力が全てスタックに乗った後にプレイヤーが優先権を得ます。(ここで1から初めてプレイヤーが呪文や能力を唱えられます。)
5.スタックに乗っている誘発型能力が解決される前にそのコントローラーが《ストリオン共鳴体/Strionic Resonator》の能力を起動しコピー生成能力をスタックに乗せます。(全てのプレイヤーが立て続けに優先権を放棄してしまった場合、スタックの一番上にある呪文や能力が解決してしまいます。従ってもしコピーしたい誘発型能力がスタックの一番上にあるならば、そのコントローラーは優先権を放棄するとコピーを生成するタイミングを逃してしまうかもしれません。)
6.他に誰もアクションを起こさなければスタックの一番上にある《ストリオン共鳴体/Strionic Resonator》のコピー生成能力が解決され、対象になっていた誘発型能力のコピーがスタックに乗る。この際にコピーの新たな対象を選び直してもいいですが、対象以外の全ての選択(モードやXの値など)はコピー元と同じものとして扱います。
7.更に他に誰もアクションを起こさなければスタックの一番上にある、その誘発型能力のコピーが解決されます。
8.その後また優先権のやり取りがあり、それらを経て改めてコピー元の誘発型能力が解決されます。
という感じです。つまり誘発型能力をコピーすると言ってもそのコピーは生成されて即座に解決されるわけではなければコピー元と同時に解決されてあたかも2倍の処理をするような挙動をするわけではありません。コピーされた能力もコピー元の能力もあくまで別々のオブジェクトとして解決されます。

コピーを防ぐタイミング
誘発型能力のコピーを防ぐには、大きく分けて
A.誘発型能力が誘発する前(1以前)に《ストリオン共鳴体/Strionic Resonator》を破壊するかまたは《真髄の針/Pithing Needle》で指定する。この場合はコピー元が残ります。
B.誘発型能力がスタックに乗ってコピー生成能力を起動される前(4~5)に誘発型能力を《もみ消し/Stifle》などで打ち消す。この場合は打ち消しに対応してコピー能力を使われうるので、コピー元は打ち消せてもコピーが解決されます。
C.コピー生成能力が起動された後でそれが解決する前(5~6)にコピー元を打ち消す。この場合はコピー元もコピー生成能力も打ち消されます。
D.コピー生成能力が起動された後でそれが解決する前(5~6)にコピー生成能力を《束縛/Bind》などで打ち消す。この場合はコピー元が残ります。
E.その他のタイミングでコピー元もコピーも打ち消す。
の5パターンあります。BやDやEのパターンが可能な場合はたいていCのパターンも可能なので、AかCを目指すほうが損をしにくいでしょう。スタンでは誘発型能力や起動型能力を打ち消すカードがなさそうな感じなのでCを狙うことはできないでしょう。例えばコピー生成能力が解決する前にコピー元を対象不適正にしたとしても、コピー元がスタックを離れるのはその解決時点なのでコピー生成もコピーの解決も妨害されません。

if節との関係
誘発型能力には英語オラクルで誘発イベントの記述(~とき、など)の直後に「~場合」という条件を課していることがあり、この条件文をif節と言います。if節を持つ誘発型能力は条件が成立している場合しか解決時に何もしないというだけでなく、条件が成立している場合しかそもそも誘発しないという制約はあります。誘発しなかった能力をコピーするということはできません。ちなみに誘発イベントの直後以外で「~場合」と書かれていてもそれはif節ではありません。よくあるパターンは「そうした場合」というタイプの条件節ですが、中には《獰猛さの勝利/Triumph of Ferocity》のように日本語オラクルだとあたかもif節のように書いてある非常に分かりにくいものもあります。(この記事を書いた時点では私自身もif節と間違えていましたw)
例4《機知の戦い/Battle of Wits》のアップキープに勝利する能力は、「あなたのライブラリーに200枚以上のカードがある場合」というif節を含む誘発型能力です。例えばアップキープの最初の時点にライブラリーが199枚だった場合は誘発しませんし、更にアップキープの間にあなたが自分のパーマネントに《払拭の一撃/Banishing Stroke》を唱えることでライブラリーを200枚にしたとしても、そもそも誘発しなかった《機知の戦い/Battle of Wits》の能力をコピーすることはできません。
例5《行き詰まり/Standstill》の「そうした場合」はif節ではありませんが、《行き詰まり/Standstill》の誘発型能力をコピーしてもコピーの解決で《行き詰まり/Standstill》が生け贄に捧げられてしまい、結局コピー元の解決の時点で《行き詰まり/Standstill》が戦場に残っていないので最初の3枚しか引けません。

キーワード化された処理との関係
誘発型能力の中にはキーワード能力やキーワード処理を含む能力があり、それらはゲームやオブジェクトの状態によって解決時の機能が違うことがあります。コピーされた誘発型能力が解決時に何をするかはコピー元とは必ずしも同じになりません。
例6結魂はキーワード化された誘発型能力で、結魂能力をコピーした場合コピーが先に解決され、その後コピー元が解決されます。コピーが問題なく解決されてかつ結魂相手が戦場に残っている場合、コピー元の解決に際してif節の「その両方が組になっていない場合」に反してしまうのでコピー元は解決時に何もしません。
例7変身することはキーワード処理であり、変身することを含む誘発型能力が誘発した時点でオブジェクトがどの面を上にしていたかに関係なく、解決する時点での面を裏返します。例えば《情け知らずのガラク/Garruk Relentless》の変身能力は状況誘発という「ゲームの状態を参照する誘発型能力」で、それをコピーした場合はまず夜の面になり、その後(夜の面が変身能力を持っていないにも関わらず)昼の面に戻ります。(通常はこの時点で忠誠度が減ったままなはずなので、更に変身能力が誘発して最終的に夜の面になります。)
例8反転することは位相を変える処理であり、非反転状態のオブジェクトを反転状態にすることを表します。従って反転することを含む誘発型能力をコピーしても、コピーが解決して反転状態になったオブジェクトがコピー元の解決で非反転状態に戻ることはありません。
例9ストーム墓地ストームはその解決時にコピーを生成しますが、そのとき生成されるコピーの数は誘発型能力がスタックに乗った時点でのストームカウントではなくストーム元の呪文を唱えた時点でのストームカウントを参照するので、コピーを生成する能力であるストームをコピーしてもそのコピーを生成するストームのコピーが生成するコピーの数はコピー元のコピーを生成するストームの生成するコピーの数とコピー的にコピーされてしまいます。
例10暗号はそれ自体は呪文能力と常在型能力の組み合わせですので、《ストリオン共鳴体/Strionic Resonator》の能力でコピーすることはできません。その呪文能力の解決により追放された暗号呪文が常在型能力によってクリーチャーに誘発型能力を与えているだけなので、コピーをすることができるのはクリーチャーの戦闘後の誘発のみです。
例11奇跡は常在型能力と誘発型能力の組み合わせで、常在型能力で公開されている自身を誘発型能力の解決で唱えさせています。この誘発型能力の部分をコピーすることは可能ですが、その場合は奇跡呪文が2回唱えられるわけではなく、コピーの解決でまず手札の奇跡呪文が唱えられ、コピー元の解決の時点では既に奇跡呪文が手札を離れているのでそれを新たに唱えさせることはありません。

紛らわしい常在型能力など
接死絆魂は常在型能力を表すキーワード能力ですし、再生することは置換効果を表すものであってそれ単体では誘発型能力を表しません。

誘発型能力の発生源の持つアンタッチャブル能力との関係
誘発型能力を発生させたオブジェクトが被覆呪禁プロテクションを持っていたとしても、その誘発型能力は関係なく呪文や能力の対象になります。

マナ能力との関係
誘発型能力にはマナ能力であるものがあります。まず起動型能力がマナ能力であることの条件は、「解決時にマナを生み出す能力」でありかつ「対象を取らない能力」でかつ「忠誠度能力でない能力」であるの3つで、更に誘発型能力がマナ能力であるための条件は「起動型マナ能力の起動を誘発条件にした能力」でありかつ「対象を取らない能力」の2つです。そしてマナ能力はスタックに乗らずそのコントローラーも未定義であるため、例え誘発型能力であったとしてもコピーすることはできません

関連している能力との関係?
追記:関連している能力に関してFAQに新しいルールが掲載されています。そちらをご覧下さい。能力の中には他の能力と関連しているものがあります。《敵対の大天使/Archangel of Strife》のような例外はありますが、そのほとんどはカードを追放する能力とその追放したカードを参照する能力です。例えば覇権やその他のナイトメア能力がその典型ですね。また刻印はルール上意味を持たない能力語ですが、それらは全て他の能力と関連しています。関連する能力をコピーする手段が今まで存在しなかったので現行のルールから判断しても少々疑問点が残りますが、とりあえず総合ルールに書いてあることだけを根拠に推測すると1つ目の能力をコピーした場合は2つのオブジェクトを追放することになり、2つ目の能力は追放された2つのうち可能な数を参照することになると思います。例えばそもそも2つ以上追放できる能力なら全てを参照し、1つしか追放できない能力ならばそのうちの1つをコントローラーが選んで参照する、という挙動が自然でしょう。後者のパターンは「その追放されたカード」という部分の元の英文オラクルは「the exiled card」なので複数になっていることを想定してませんし。
例12?《忘却の輪/Oblivion Ring》の1つ目の能力をコピーした場合、《忘却の輪/Oblivion Ring》が戦場を離れると1つ目の能力で追放した2つのパーマネントのどちらかを選んで戦場に戻すことになります。また《忘却の輪/Oblivion Ring》の2つ目の能力をコピーした場合、1つ目の能力で追放されたパーマネントがコピーの解決で1つ戦場に戻り、まだ他に追放されているものがあればコピー元の解決でも1つ戦場に戻ります。
例13?《金属モックス/Chrome Mox》の刻印能力をコピーした場合、2つのカードを刻印することになります。その状態で《金属モックス/Chrome Mox》のマナ能力を起動すると、刻印されているカード群の色たちの中から1つ選んでその色のマナを出すことになります。
例14?《等時の王笏/Isochron Scepter》の刻印能力をコピーした場合、その起動型能力の1回の起動で唱えられるのは刻印されたもののうち1つです。もし仮に1つ選んで参照するというのが誤りで全て参照するというのが正しい裁定だとすると、2つのコピーを同時に唱えさせることになって何だか気持ち悪いですね。
例15??《ファイレクシアの摂取者/Phyrexian Ingester》の刻印能力をコピーした場合、どう修整を受ければいいのかさっぱりです。刻印されているもののうち1つを選ぼうにも常在型能力ですしどのタイミングで選ぶものでしょうか。+X/+Yの修整を受けるという継続効果が刻印されている各カードについて機能して、結果的に合計値を参照することになるのでしょうか。もし仮に1つ選んで参照するというのが誤りで全て参照するというのが正しい裁定だとすると、2つの相異なるパワーとタフネスを持ってしまいます。・・これはいわゆる未解決問題ですね。ちなみに似ているようで《映し身人形/Duplicant》は「その追放されているカードが単一のクリーチャー・カードであるかぎり」と書いてあるのでセーフ!

コメント

部族厨
2013年7月5日19:43

多分例15に関してはそのうちオラクル変更がなされるかM14導入時の総合ルールの変更で解決されると信じたいですね。

あと、例7は昼の面に戻った後に再度状況誘発が起こると思いますのでコピーとコピー元の間に増殖でも挟まないかぎりは、結果的には夜の面に戻ることになりそうですね。

ひまじん
2013年7月5日19:50

刻印関係はルール変更が多いあたり、なかなか調整が難しいのでしょうね。

ガラクの変身はその通りでした。注記しておきます。ありがとうございます。

Hotmilk
2013年7月5日19:56

例4:《獰猛さの勝利/Triumph of Ferocity》のアップキープにドローする能力は、コントローラーがパワーの大きいクリーチャーをコントロールしている場合というif節を含む誘発型能力です。例えばアップキープの最初の時点でお互いがクリーチャーをコントロールしていない場合は誘発しませんし、更にアップキープの間にあなたが瞬速で《修復の天使/Restoration Angel》を唱えることでパワーの大きいクリーチャーをコントロールしている状態になったとしても、そもそも誘発しなかった《獰猛さの勝利/Triumph of Ferocity》の能力をコピーすることはできません。


通りすがりですが・・・
詳細は割愛しますが、誘発します。

ひまじん
2013年7月5日20:01

今気づきました・・条件が誘発イベントの直後に書かれていないのでif節じゃないのですねこれ・・。正確なカードテキストを把握していませんでした。
別の例に変えさせていただきます。ご指摘感謝します。

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