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他のEDH解説記事:
 http://himajin.diarynote.jp/201102250055363366/ (総論・カード選択)
 http://himajin.diarynote.jp/201102250055363366/ (構築・色の役割)

色別・機能別カード一覧(EDH用)
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色別コンボ一覧
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 http://himajin.diarynote.jp/201205242057062063/ (2色)
 http://himajin.diarynote.jp/201110110001493626/ (3色以上)

EDH(Elder Dragon Highlander、新名称では統率者戦/Commander)というフォーマットがそもそも何かについてはWikiって下さい。
http://mtgwiki.com/wiki/EDH

基本多人数戦用のフォーマットですが、1対1でも対戦できます。その場合はカードパワーも変わってしまうので、デッキの組み方も変わります。通常1対1のものを1vs1と呼んで区別してます。1vs1のEDHはデュエルコマンダーと似てはいますがルールもBANリストも異なるので混同のないようにお願いします。


【総マナコスト】
EDHのデッキはジェネラルを含め100枚ですが、その点数で見たマナコストの合計(以下、総マナコスト)はデッキを組む上で大事な指標の1つになります。皆様はご自身のデッキの総マナコストを計算したことはあるでしょうか?まだの方は是非とも一度数えてみて下さい。例えば私の過去の多人数戦仕様のデッキレシピですと、

《鍛冶の神、パーフォロス/Purphoros, God of the Forge》
 http://himajin.diarynote.jp/201309242240013629/ 合計227

《妖精の女王、ウーナ/Oona, Queen of the Fae》
 http://himajin.diarynote.jp/201110081825022584/ 合計213

《目覚めし深海、レクシャル/Wrexial, the Risen Deep》
 http://himajin.diarynote.jp/201106242248587370/ 合計216

《歩く墓場、髑髏茨/Skullbriar, the Walking Grave》
 http://himajin.diarynote.jp/201307112326422936/ 合計150
 http://himajin.diarynote.jp/201210172245489470/ 合計162

《フォモーリのルーハン/Ruhan of the Fomori》
 http://himajin.diarynote.jp/201309242240013629/ 合計159
 http://himajin.diarynote.jp/201202212215059823/ 合計166

《包囲の搭、ドラン/Doran, the Siege Tower》
 http://himajin.diarynote.jp/201401052226461832/ 合計152
 http://himajin.diarynote.jp/201202292301154256/ 合計137
 http://himajin.diarynote.jp/201202231856423028/ 合計149
 http://himajin.diarynote.jp/201110060021505990/ 合計131
 http://himajin.diarynote.jp/201102242344436296/ 合計125

《霧を歩むもの、ウリル/Uril, the Miststalker》
 http://himajin.diarynote.jp/201401030001334382/ 合計153
 http://himajin.diarynote.jp/201305072117078888/ 合計165
 http://himajin.diarynote.jp/201303282315357189/ 合計160
 http://himajin.diarynote.jp/201205052119014610/ 合計168
 http://himajin.diarynote.jp/201201292228327915/ 合計170
 http://himajin.diarynote.jp/201109232012525596/ 合計176
 http://himajin.diarynote.jp/201106232310133762/ 合計167
 http://himajin.diarynote.jp/201103222243113111/ 合計167

《アニマのメイエル/Mayael the Anima》
 http://himajin.diarynote.jp/201106222328115289/ 合計225
 http://himajin.diarynote.jp/201104230046399967/ 合計217

《夢見るものインテット/Intet, the Dreamer》
 http://himajin.diarynote.jp/201202022150526190/ 合計240
 http://himajin.diarynote.jp/201110151734494980/ 合計217
 http://himajin.diarynote.jp/201106292318474986/ 合計211
 http://himajin.diarynote.jp/201103031325109554/ 合計191

《始祖ドラゴンの末裔/Scion of the Ur-Dragon》
 http://himajin.diarynote.jp/201401032015355760/ 合計141
 http://himajin.diarynote.jp/201209021338364019/ 合計137
 http://himajin.diarynote.jp/201202162303511703/ 合計128
 http://himajin.diarynote.jp/201109212058175913/ 合計162
 http://himajin.diarynote.jp/201106272238455561/ 合計151
 http://himajin.diarynote.jp/201103222243196019/ 合計165

となっております。ジェネラルによってかなりばらつきがありますし、同じジェネラルでも採用コンボによって著しく総マナコストが変動しています。もちろんピッチスペルや奇跡呪文や分割カードやそもそも唱えない呪文、Xマナやファイレクシアマナなどはそのままの点数で見たマナコストにさほど深い意味がありませんが、デッキの100枚のうちそういった例外は微々たるものとして細かいことは考えないことにしましょう。

当然ですが基本的には点数で見たマナコストが大きい呪文の方が大きな効果を生じますが、その分なかなか唱えられないというデメリットがあるわけですね。従ってデッキの総マナコストが高いほど序盤腐るカードが多くもっさりと動くことになり、逆に総マナコストが小さいほど終盤にデッキトップのカードパワーの低さに悩むことになります。具体的にどのくらいの総マナコストを目指すべきか個人的な印象を基に箇条書きすると、

~150 かなり少ない。普通に終盤を迎えるとまず勝てないので、サーチとコンボパーツだけのデッキや部族デッキなどのような超高速デッキにしたい。

150~180 やや少なめ。迅速で妨害のしにくいコンボやワンショットを狙えるジェネラルを使って自分より総マナコストの高いデッキをゲームの早い段階で落としていける構成にしたい。

180~220 平均的。自分より総マナコストが低いデッキの速攻を防ぐために適度な妨害と除去を入れたい。

220~250 やや多め。やりたいことをする前にコンボやボード制圧をされてしまわないように、多めの妨害なり全体除去なりでゲームを低速化させる構成にしたい。

250~ 多め。土地以外のカードの平均マナコストが4を超えてくるので、よっぽど大量にマナ加速を積まないと1ターンに1つしか呪文を唱えられない。かといってマナ加速とビッグスペルだけだと妨害もボードコントロールも出来ない上にヘイトだけは高くなるので、卓の他のプレイヤーのデッキの総マナコストが全体的にやや多めで自動的にゲームが長期化しデッキトップの質が重要になる環境でのみ使いたい

といった感じです。最後の250~の説明を呼んでくださればお分かりいただけると思いますが、この多い少ないは相対的なものでして卓の他のプレイヤーの総マナコストが想定よりだいぶ偏っている場合はそれに合わせて評価が変わります。つまり例えば4人中自分以外の3人が全員総マナコスト150以下のデッキを使っている場合は総マナコスト180のデッキでさえ多めになりますね。上の具体的な数値はあくまで私の周りの卓での話なので、大事なのは卓の平均的な総マナコストより高いか低いかでゲームを低速化させるべきか速攻を仕掛けていくべきかが変わるということです。もちろん初対面同士の卓だと卓の平均的な総マナコストなんて分かりませんが、見知った卓なら自分のデッキの総マナコストと平均を大雑把には比較できるわけです。その場合は構築の段階で
1.自分は平均より高めに組んでいるから妨害と全体除去を多めに積んでゲームを低速化させることで終盤にデッキトップのカードパワー差を活かせるようにしよう。
2.自分は平均的な総マナコストで組んでいるので終盤息切れしないようにそれなりのビッグスペルとライブラリー操作を入れよう。自分より早いデッキに対する妨害は自分より遅いデッキに重めに負担してもらおう。
3.自分は平均より低めに組んでいるから極力速攻を決められる構成に尖らせつつ妨害に対する対策を入れよう。
というように総マナコストに噛み合った構成を意識できるわけです。


さて、以上の総マナコストと構築一般のお話は多人数戦やハイランダーに限らずリミテでも他の構築でも同様に考えられるわけですが、EDHにはジェネラルと固有色という概念があります。固有色次第では総マナコストはもっと大切で、単なる構築の仕方だけでなく特定のパワーカードの選択にも大きく影響を与えます。というわけで、総マナコスト・固有色・パワーカードの関係について次をご覧下さい。


【固有色とパワーカード】
まずは色ごとにパワーカードの特徴を見てみましょう。ここでパワーカードとはマナレシオがいい軽いカードとカードパワーの高い重量級のカードの両方を指します。どの色にも重量級のパワーカードはありますので、色の特徴が出るのは主にそれ以外の高マナレシオのパワーカードというわけですね。

は多才ながらも1~4マナに非常に強力なカードが集中しており、特にボードに干渉するカードに恵まれています。高マナ域のカードは他の色ほどは制圧力がないので、サポートカラーとしての役割が濃いでしょう。
は1~4マナの打ち消しに加え、5マナには《時間のねじれ/Time Warp》系、そして高マナ域には1枚で優位性を確立させるカードに溢れています。優位性を固定させる打ち消しと合わせ、まさに勝利に直結した色でしょう。
は1~3マナにサーチやリアニメイトといったコンボ絡みのパーツ、1~4マナに除去、2~5マナに優良ドロー、といった感じに各マナ域にバランスよくトップクラスのパワーカードを有します。そのためどの色と組み合わせても強力です。
は1~5マナまではごく一部のカードが目立つ以外お通夜ですが、代わりに高マナ域にはゲームの流れを完全に変えてしまいうる最高クラスのリセットが豊富です。
は1~4マナに随一のマナ加速手段を持ち、高マナ域には理不尽なcip能力を持つファッティが数多く存在し、またそれらのファッティにアクセスするためのサーチ手段にも恵まれています。

さて赤単で総マナコスト180以下でちゃんと戦えるものデッキにはどのようなものがあるでしょうか?《群衆の親分、クレンコ/Krenko, Mob Boss》などをジェネラルとした純ビートでしょうか。それ以外にはあまり思いつきませんね。それもそのはず、赤単には低マナ域のパワーカードがごくわずかしかないのです。純ビート以外でデッキを組もうものならある程度パワーカードを入れることになり、必然的に総マナコストは200を超えてしまうのではないでしょうか?
逆に白単で総マナコスト220以上でちゃんと戦えるデッキにはどのようなデッキにはどのようなものがあるでしょうか?《希望の天使アヴァシン/Avacyn, Angel of Hope》や《エメリアの盾、イオナ/Iona, Shield of Emeria》のような重量級ジェネラルで妨害系の置物をばらまきつつ全体除去やファッティを好き勝手連打していくような低速デッキでしょうか。白単の強みは1~4マナ域の強力無比な高マナレシオのパワーカード群なので、それらの軽いカードたちを多く入れた上で総マナコストを220オーバーさせるには超重量級のカードを入れていく必要があるわけです。
では赤白を両方含む固有色だとどうでしょう?白の低マナ域と赤の高マナ域があるので総マナコストを自由に調整できますね。黒単色も各マナ域にある程度はパワーカードが分布しているのでそれなりに自由に総マナコストを選べます。

このように、色によってパワーカードの分布するマナ域が違うため、そもそも固有色を確定させた時点でデッキの総マナコストに大きく制約がついたりするのです。

このような制約以外にも、固有色に基づく総マナコストの傾向があります。例えば単色デッキは多色デッキよりパワーカードの選択肢が狭いため、純ビート以外で組むなら多くのパワーカードをデッキに入れようとする時点で重量級のカードをある程度採用することになるわけです。例えば緑単の低マナ域のパワーカードはマナ加速くらいしかないので、どうあがいても総マナコストが大きくなりますよね。


ここで、総マナコストが決定されても各カードの点数で見たマナコストの分布は決まりません。総マナコストが180だとしても、各マナ域がバランスよく採用されているかもしれませんし、1~2マナ域と高マナ域のみが偏って採用されているかもしれません。しかし、総マナコストが決定されることによって個々のカードの選択肢はかなり狭まるのです。例えば多人数戦仕様のEDHでトップクラスの重量級カードである
《聖別されたスフィンクス/Consecrated Sphinx》
《抹消/Obliterate》
《森林の始源体/Sylvan Primord》(→禁止になりました。)
の3つは特に理由がなければ積極的に採用したいカードですし、実際これらは重量級のカードを数多く採用するデッキならまず優先的に選択されるものと思います。しかし逆に言えば重量級のカードをあまり採用しないデッキには噛み合っていません。総マナコストの低いデッキはマナ加速が少ないのでこういったカードを積んでもなかなか唱えられませんし、これらは他の重量級のカードと併用してこその価値があると思います。例えば総マナコストが150のデッキに《森林の始源体/Sylvan Primord》が入っているとしましょう。ほぼ確実に《森林の始源体/Sylvan Primord》が点数で見たマナコストの一番高いカードとなるでしょう。ろくにマナ加速もないので《自然の秩序/Natural Order》などを経由して戦場に出すことになると思いますが、《森林の始源体/Sylvan Primord》を戦場に出して土地を伸ばしたところでそのブーストを活かせる重量級のカードが入っていないので単なる置物破壊と大差がないのです。それならばむしろ軽くて置物リセット内臓の《進歩の災い/Bane of Progress》の方が優れているかもしれません。これは強いから入れておこう、というパターンの構築は好きなカードを沢山入れたいEDHでは私もよくやってしまうのですが、そうする前に一度自分のデッキの総マナコストを思い出して、そのただつよカードのただつよっぷりを活かせるようなデッキなのかどうかを一考することも大切ですね。

同様のことは《時間のねじれ/Time Warp》系のカードにも言えます。《時間のねじれ/Time Warp》系のカードはただつよですが、青いデッキでも必須ではありません。何故でしょう?追加ターンを得て強いのは終盤です。それは終盤になるほど土地が伸びていて、《時間のねじれ/Time Warp》系を唱えたターンの間に別のアクションも取れ、更に追加のターンでもビッグスペルに繋げられるからです。従って仮に最速で《時間のねじれ/Time Warp》系を唱えようとしてすべてのマナを使ってしまっているようでは《探検/Explore》と変わらないのです。以上を踏まえると、総マナコストが180以下のデッキでは終盤になっても大してマナも伸びないので《時間のねじれ/Time Warp》系の価値もそこまでではないということがお分かりいただけると思います。逆に総マナコストが220以上のデッキの《時間のねじれ/Time Warp》系は威力が段違いなので、青いデッキならば総マナコストの低いクロパや超高速のコンボにするのでない限りなるべく入れたほうがいいと思います。特に青緑絡みのデッキならばなるべく総マナコストを高めにして十分なマナ加速と《時間のねじれ/Time Warp》系を積極的に積みたいものですね。


長くなりましたがまとめると、
1.単色(特に赤単と緑単)は純ビートにしない限りは総マナコストを大きくすると戦いやすい。
2.青系(特に青緑系)のデッキはクロパや超高速のコンボにしない限りは総マナコストを大きくして《時間のねじれ/Time Warp》系のカードと重量級のパワーカードを入れると戦いやすい。
3.ただつよで準必須のパワーカードもデッキの総マナコスト次第ではあまり役に立たなくなるので、盲目的にパワーカードを積む前に総マナコストと噛み合っているかを検証した方がいい。
ということでした。

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